Vol.3:ドラム譜と変則的なパーカッション譜を作る
過去においてはFinaleでのパーカッション譜の作成は通常の五線譜と比較するとコツが必要で、特に記譜とプレイバックを一致させる設定は簡単ではなく、ユーザーの皆様を悩ませてきました。
しかし、バージョン2009あたりからパーカッション譜の作成機能が改善され、今では初心者の方でも気軽にパーカッション譜の作成に取り組めるようになりました。
今回の連載では、まずドラム譜の作成の基本、変則的な線(2線や3線)を用いたパーカッション譜の作成、そして混乱しがちな楽器種変更を簡単に行なう方法を紹介しましょう。
ー目次ー
1. ドラム譜の作成
まずは最も基本となるドラム譜を作成してみましょう。今回はこのようなドラム譜を作成してみます。
(1)セットアップ・ウィザードから、ドラム譜作成の準備をしましょう。
(2)入力方法はいくつかありますが、「高速ステップ入力」(MIDIキーボード不使用)がおすすめです。
ツールを選んだら「高速ステップ」メニューの中から「MIDIキーボードを使用」のチェックを外しておきましょう。
(3)第1小節目をクリックして小節の編集枠内に入ったら、上下の矢印キーで上第一間の位置までカーソルを移動してください。上第一間に設定されている楽器が複数ありますので、表示されている楽器名が「Hi-Hat Closed」になっていることを確認してください。
(4)その状態で、数字の「4」キーを押します。八分音符が入力されましたね。そのまま、もう一度「4」キーを押して次の音符も入力します。
(5)続いて、矢印キーでカーソルを第三間の位置まで移動させます。楽器名表示は「Snare Drum」になっていることを確認してください。そして、同様に「4」キーを押します。
するとスネア・ドラムの八分音符が入力されます。この要領で1小節目の符尾が上向きの音符すべてを入力してみます。
(6)音符は入力されましたが、符尾は下向きになってしまいました。しかし、バス・ドラムを入力することで解決しますので、気にせず次に進みましょう。
バス・ドラムは「レイヤー2」に入力します。画面左下のレイヤー切り替えメニューから「レイヤー2」を選択したうえで、再度第1小節目をクリックして編集枠内に入りましょう。そして、矢印キーの上下でカーソルを第一間の位置まで移動させます。楽器名は「Kick Drum」と表示されます。
(7)四分音符=「5」キー、八分音符は「4」キー、休符は一旦音符を入力してから「R」キーを押して休符に変換します。
これで第1小節目が完成しました!
(8)続いて第2小節目も入力していきましょう。今回の例では、第五線上にある「High-Mid Tom」と、
第四間にある「Low-Mid Tom」、
第四線上の「Low Tom」、
第二間にある「Floor Tom1」を用いました。
(9)最後の拍にCrash Cymbalがあります。ここはカーソルを上第一線に合わせて、「Enter」キーを押してください。音が追加されます。
(10)上記(6)の手順と同様、レイヤー2にバス・ドラムを入力していきましょう。これで第2小節も完成です。
(11)いよいよ最後の小節。要領はこれまでと同じです。上第二間の「Splash Cymbal」を選び、「6」キーで二分音符を入力します。
(12)レイヤー2に切り替えてバス・ドラムを入力してして…
(13)完成です!
2. 変則的なパーカッション譜の作成
複数のパーカッションを1つの五線にまとめて記譜することは一般的ですが、場合によっては二本や三本の五線の中に整然と楽器を配置したい場合があります。
(1)このような特殊な五線は、「ウィンドウ」メニューから、「スコア・マネージャー」を開き、その中の「五線の種類」で「その他」から設定します。
(2)「特殊な五線の設定」ダイアログが開きますので、「特殊な五線」をクリックして選び、下側の設定枠で必要な線を選びます。
これで見た目上の五線設定が出来ましたので、この特殊五線に合わせて必要な楽器を当てはめていきます。
3. パーカッションの楽器設定
パーカッションの楽器設定は、「パーカッションMIDIマップ」「パーカッション・レイアウト」など、少々敷居が高い設定項目があります。これらの設定方法をよく理解すれば、パーカッションを自在に操れるようになりますが、ここでは手っ取り早く楽器種を変更できる方法として「パーカッションの変更」機能をご紹介しましょう。
(1)変更したい五線を選択ツールで選んだ状態で、「ユーティリティ」メニューから「パーカッションの変更」を選びます。
(2)「パーカッションの変更」ダイアログが現れますので、変更したい楽器をリストから探して選びます。(左図は「Shaker」を「Tambourine」に変更する例)
これだけの操作で、パーカッションの楽器を変更することができますので、是非活用してみて下さい。
4. 関連記事リンク集
「特殊楽譜にチャレンジ!」シリーズの他の記事も、宜しければご一読ください。事例として取り上げた楽器は違いますが、ここからFinaleに搭載されたさまざまな機能の応用方法を考えるためのヒントが得られると思います。
- 特殊楽譜にチャレンジ!Vol.1:日本式のギタータブ譜を作る
- 特殊楽譜にチャレンジ!Vol.2:ハーモニカや和楽器用の数字譜を作る
- 特殊楽譜にチャレンジ!Vol.3:ドラム譜と変則的なパーカッション譜を作る
「楽器別フィナーレ活用術」の打楽器編は、音符入力、LR/ストローク表記、ハーフタイム・シャッフルなど連符フレーズの入力、符頭の変更、装飾音符やアーティキュレーションなど、実際の打楽器スコアや教材などを作成するための広範な内容を網羅しています。
ドラム譜制作にも役立つ、Finale操作のちょっとした小技の記事をご紹介します。
- TIPS 3. 入力済みの記号やアーティキュレーションを瞬時に変更する方法
- TIPS 8. プレイバック時の臨場感を簡単に調整する方法
- TIPS 10. プレイバック時に、連続する16分音符をシャッフルさせる方法
- TIPS 12. 部分的にプレイバックをしてサウンドをチェックする方法
- TIPS 14. 目からウロコのショートカット集「高速ステップ入力編」(Mac版)
《Finaleの基本操作を学べるリソース》
- 譜例で操作方法を検索(Finaleオンライン・ユーザーマニュアルより。Finaleで可能なこと、それを行うための操作法が一目で分かり、初心者の方には特にお勧めです。)
- クイック・レッスン・ムービー(Finaleの操作方法や便利な機能などを30〜60秒程度の短い映像でご紹介しています。)