連載「電子楽譜のはなし」

この記事をご覧になっている方なら、どこかで耳にしたことがあるのではないでしょうか。“電子レンジ”でも“電子ピアノ”でもない“デンシガクフ”。言葉の響きからして何だかむずかしそう・・・。

「楽譜はやっぱり紙、電子楽譜なんて縁のないもの」とお思いのあなたも、きちんと知れば、“電子楽譜”との理想的な付き合いかたにきっと気づくはず。

Vol.4:Finaleを制するものは電子楽譜を制す!?(最終回)

 


1. 電子楽譜はインタラクティブなものへ

おびただしい数の楽譜関連アプリ

2000年頃、インターネット上に「電子譜面台が市販化」との記事が報じられ、一部の音楽愛好家をどよめかせました。

実はこれ、4月1日のエイプリールフールのジョーク記事で、実際には実現されたものではありませんでした。

その装置は、必要な時にインターネット上から瞬時に目的の楽譜を取り出して、ディスプレイ上に表示ができ、タッチするだけで移調できたり、書き込みにも対応すると謳われ、インタラクティブで夢のような装置でした。

それから10年以上が経ち、まさにその夢だった世界が現実のものとなってきました。前回の連載で紹介した電子楽譜アプリは日進月歩のスピードで進化をし続けています。

 


2. PDFの先に本当の電子楽譜の世界が広がっている

しかし、主流となっているのはPDF形式の楽譜を表示させるアプリ。上述の「タッチするだけで移調」の機能や、楽譜を自動再生させることは技術的にとても難しいことなのです。

一般的に浸透していくためにはPDFのように汎用性のあるフォーマットが必要です。そのフォーマットは楽譜のレイアウト情報と、プレイバックや移調を可能とするためのMIDI情報を併せ持っている…。そんなフォーマットこそが、PDF楽譜の先に“本当の”電子楽譜の世界を提示してくれそうです。

しかし、そんな都合のいいものがあるのでしょうか…?

 


3. MusicXMLがもたらすもの

MusicXML

詳しい方なら既にピンと来ていらっしゃるかと思いますが、『MusicXML(ミュージック・エックス・エム・エル)』というファイル形式が、その「都合のいいフォーマット」として注目されています。

この「MusicXML」とは、アメリカのRecordare社が2004年に発表した楽譜表記のためのフォーマットで、統一規格を策定して電子楽譜の普及を促すために開発されました。

世の中には数多くの音楽作成ソフトがありますが、それぞれに独自のフォーマットで開発されているため互換性はほとんどありませんでした。

しかし、この「MusicXML」の登場によって、ソフト間の垣根を越えて楽譜データのやりとりを行うことが可能になってきたのです。現在では、このMusicXML方式をサポートする音楽作成ソフトは160以上もあるとのこと。

MakeMusic社は、いち早くこの「MusicXML」の開発に参画し、Finaleのバージョン2006から正式対応させました。そして2011年にはRecordare社を傘下に収め、より積極的に「MusicXML」の普及に力を入れています。

 


4. Finaleは最も優秀な電子楽譜製造機

MusicXML形式で他の音楽ソフトユーザーと電子楽譜ファイルを共有

PDFのその先にある存在としてMusicXMLが注目されていて、そしてそのMusicXMLを開発する企業がFinaleと同じMakeMusic社。つまり、これからのFinaleは今まで以上にMusicXMLとの親和性が深められていくことが期待されます。

連載のVol.2で「紙の楽譜は絶対に無くならない」と断言しましたが、その一方で電子楽譜の世界も着実に新しい方向へと向かっています。

ほんの10年くらい前までは、Finaleは出版業界やプロの音楽家などの、限られた人だけが使う“業務用ツール”でした。それが今では、PrintMusicなどのライトバージョンの登場も相まって、老若男女、楽譜を必要とする人なら誰もが気軽に手に出来るツールへと変遷してきています。

Finaleファミリー・ユーザーの皆さんは、日々、必要に応じて楽譜を作成されていらっしゃると思いますが、その行為自体が取りも直さず電子楽譜を製造していることに他なりません。実は、知らず知らずのうちに皆さんは電子楽譜の最先端に居るのです。

是非、その優越感を味わいつつFinaleファミリーを使い続けていただければと思います。

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5. 関連記事リンク集

 

《連載「電子楽譜のはなし」》

《連載「楽譜浄書のはなし」》

《連載「DTMのはなし」》

《楽譜作成ソフトウェアの導入メリットを考える》

《Finaleの基本操作を学べるリソース》

  • 譜例で操作方法を検索:Finaleオンライン・ユーザーマニュアルより。Finaleで可能なこと、それを行うための操作法が一目で分かり、初心者の方には特にお勧めです。
  • クイック・レッスン・ムービー:Finaleの操作方法や便利な機能などを30〜60秒程度の短い映像でご紹介しています。

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